NODA・MAP公演「キル」(1/16ソワレ@シアターコクーン)

1週間以上も前に観に行ったのに、今まで放置してました(苦笑)。
1994年の初演以来、1997年の再演を経ての再々演だそうです。
妻夫木くんの役柄を前2回は堤真一さんが演じてたんですね。へ〜、観たかった!
THE BEE 以来の野田作品。THE BEEで感じた怜悧でカミソリのようなキレ味もこの人の持ち味だけど、こういう柔らかさを感じる作品もまた、この人の味なんだろうなぁ。
物語のモチーフは、モンゴルとファッションデザイナー。確かにこれだけ聞くと柔らかそうだけど、それがさっき書いた柔らかさの肝では無いのですよ。
この人の頭の中と身体の柔らかさ、これに尽きるんだなぁ。韻を踏んだリズミカルな台詞と言葉遊び、その流れるような台詞に潜ませる主題。そして、舞台で魅せる為に繰り出される軽やかで柔軟な身体能力と舞台装置の使い方。それがエンターティメントとしての舞台を実感させてくれるんです。柔らかい人だなぁ…。
キル、着る、切る、斬る、Kill。んーー、日本語って面白い。
パンフレットにあった「等身大の物語が大嫌い」という言葉。そして「まことしやかな壮大な嘘」という言葉。それを求めていてくれる限り、この人から目を離すことは出来ないと思う。やはり、この人は舞台の申し子なんだなぁ。
いつの日かこの才能に未來さんも出会って欲しい。うん、これは切実にそう思った。


初舞台の妻夫木くんも、野田さんの期待にキチンと応えていました。台詞はぐっと前に出て行くタイプでは無いんだろうけど、鍛錬したんだろうなぁ…と。初舞台でこれだけ出来たらアッパレだと思います。
広末さんは、期待通り可愛らしくも儚げで、でも図太くて。いいです。この人ももっともっと伸びていく予感がしました〜。
あと、特筆すべきは、勝村政信さん。この人の実力は舞台で確認するのが一番ですね。凄いですよ!力技で観客を引き込む術を知っている役者さんですね。この舞台の一番の収穫でした。