朧の森に棲む鬼（12/31@新橋演舞場）

舞台

一年の締めくくりにもの凄い舞台を観てしまいました。日本のエンタメ界に置いて最高峰では無いのか？と思える舞台でした。いや、私が勝手にそう思ってるだけだけど、あれほどの高揚感を与えてくれるものってなかなか無いと思うんですよ。
完璧な舞台構成と世界観、水を駆使した舞台装置、役者の渦巻くエネルギー、どれを取っても本当に素晴らしい！あああーーー、悔しい。なんだかとっても悔しい（苦笑）。
とにかく、幕が開いた途端あの世界観に引きずり込まれ、幕が下りるまで朧の森を彷徨っていた私…。すごい。なんだったんだ？あの空間…。
今更言うまでも無いことだけど、いのうえさんと中島さんは天才だなぁ。
今更だけど、私の語彙は貧困だなぁ（苦笑）。
物語に関しては公式サイトを参照いただくとして、役者さんに関して以下に記しときます。
ネタバレ有りですので、ご注意。




  • ３人の魔物（オボロ）に導かれ、坂道を転がるように破滅へ突き進むライ（市川染五郎）。
    • この舞台の屋台骨。しっかり主役として君臨しておりました。この人にダメ出し出来る人っているんだろうか？大悪党だけど可愛らしい。人をたらし込む天才ライは、この人にしか出来ないと思う。カツゼツ、立ち回り、感情のほとばしり、全てがスゴイ。高麗屋さんちは兄妹揃ってスゴイんだな。あ、もちろんお父様も素晴らしい方です。
  • ライに寄り添い、堕ちていく過程で哀しくも裏切られ、それによって救われるキンタ（阿部サダヲ）
    • その一挙手一投足に、観客の目はクギヅケ。舞台の神様に魅入られた人。キンタが出てくるだけで舞台上が一気に華やぐのは何故なんだろう？歌も演技も立ち回りも素晴らしい。大人計画でのサダヲさんも良かったけど、まるで劇団員かのような新感線での彼の立ち位置は何なんだろう？（笑）目を潰された後の盲目の演技も素晴らしかったです。大好き。
  • エイアン国と対立しているオーエ国の党首シュテン（真木よう子）。
    • 真木さんは舞台で初めて観たけど、その少年のような凛とした姿と声に惚れそうになりました（笑）。折れそうだけど折れない若竹のような人。
  • ライに夫を殺され、利用され、心を開いたことへの後悔と復讐に燃え上がるエイアン国四天王ツナ（秋山菜津子）。
    • ただひたすら美しかった。女であることと勇ましいことは対にはならないのだな、と。しなやかでありつつも、真っ直ぐな猛々しさ。そのどちらをも破綻無く表現できる人なんだなぁ。好きです。
  • イチノオオキミの愛人、そしてライの情婦でもある哀しき女シキブ（高田聖子）。
    • やっと聖子さんの真骨頂を見ることが出来たような気がします。毒婦と呼ばれようが自分の中の業に正直に生きた人シキブ。その業をしっかりと見せていただきました。
  • エイアン国四天王ウラベ（粟根まこと）
    • 出番が少なかったけど、そこはそれ、きちんと存在感を出せるお方ですから（笑）。殺人者の目、なんてこと言われてましたね〜。出来得るなら、もう少し物語の肝に絡んで欲しかったような…。殺陣もパール王ほどの見せ場は無かったかな。
  • エイアン国四天王サダミツ（小須田康人）
    • 実は幕間でパンフを確認するまで小須田さんだとは分からず…（苦笑）。しっかりと物語を形作る一角を担っていたけど、もう少し見せ場が欲しかったような…。
  • エイアン国王イチノオオキミ（田山涼成）
    • そのチャーミングな王様っぷり。素晴らしいです。メタマクのレスポール王もチャーミングだったけど、それとはまた違うスィートなチャーミングさで（笑）。最期の瞬間、彼の心の中はどうだったのでしょう。全て理解しての上だったのか、そうでないのか。理解しての上だと思いたいな。
  • ラジョウを仕切る男。そしてライの悪事の片棒を担ぎ、何かを見、何かを悟る男マダレ（古田新太）
    • NODA・MAP以来の古田さんでした。今回もこの人の舞台上での余裕に感服しました。どこまでも懐の深い人だなぁ。舞台に重心を与える人ですね。素晴らしい。
  • エイアン国宮廷人であり、ライの悪事に手を貸す小悪党アラドウジ（川原正嗣）
    • 大好きーーーー！！その声も所作も全てがツボ！！殺陣が無いのがとっても残念だったけど、その所作だけでも一見の価値有りです。全てに無駄が無い。さすがアクション監督！（笑）出来れば、もう少し出番が欲しかった…。
  • その他出演者に関して。
    • 中谷さとみさん（オクマ）。あーーー、もうね、まるっきりユウキ（@メタマク）だったけど、それが可愛いったらありゃしない！一生懸命で一途にキンタを思うオクマちゃん。最高にキュートでした！
    • 保坂エマさん（カネド）。綺麗でカッコよかった。スタイルが素晴らしい！あの門番の母ちゃん（@メタマク）がここまで化けるとは…。女優ってスゴイ。怖ろしい…。

こんな感じで。
他にもメタルさんや河野さん、磯野さん…等々おなじみの方達も出演されていて、それだけで何故か安心感がありました。いや、新感線の舞台なんだから当たり前っちゃあ当たり前なんだけど（笑）。


とにかく、この素晴らしい舞台は一見の価値ありですよ！お暇とお金とチケットがあるようでしたらぜひ！！新橋の朧の森へ迷い込んでみてください。